WordNetのご紹介
Date: Sat, 21 Feb 1998 "SEKIYAMA, Kenji (Sekky)"
はじめまして。愛知淑徳大学大学院(博士課程後期・D2)の関山健治と申します。社会言語学が専門の私ですが,辞書学にはアマチュアとして大変関心を持っております。気楽にお書き込みください,という井上先生からのメッセージにつられて,WordNetという(俗に言うなら)「デラックス類語辞典」とでも呼ぶべきソフトをご紹介します。ご参考になれば幸いです。
WordNetは,Princeton大学の認知科学研究所が開発した,オンラインの英語語彙データベースです。一種のthesaurusですが,従来のthesaurusが(狭義の)synonymを対象としているのにくらべ,WordNetは,名前の通り,ある英単語と意味的につながりのある語を多角的,階層的に示してくれます。これによって,従来のthesaurusではカバーできなかった上位語,下位語などを調べることもできます。
具体的には,以下のような情報が得られます。それぞれ,WordNetを用いて,"car"という単語の,「自動車」という意味におけるつながりを調べてみました。
★Synonym:従来のthesaurusのように,"car"の類義語をリストアップします。
car, auto, automobile, machine, motorcar
★Hypernym:"car"の上位語(より一般的な意味を表す語)をリストアップします。"=>"のインデントによって,階層的に示されます。
car, auto, automobile, machine, motorcar
=> motor vehicle, automotive
vehicle
=> vehicle
=> conveyance, transport
=> instrumentality, instrumentation
=> artifact, artefact
=> object, physical
object
=> entity, something
★Hyponym:"car"の下位語(よりspecificな意味を持つ語)をリストアップします。
car, auto, automobile, machine, motorcar
=> ambulance
=>
funny wagon
=> beach wagon, station wagon, wagon, beach waggon,
station waggon, waggon
=> shooting brake, estate car
=>
bus, jalopy, heap
=> cab, hack, taxi, taxicab
=> compact,
compact car
=> convertible
=> coupe
…以下省略…
★Coordinate Terms:"car"の同族語("car"の1階層上位語(=motor vehicle)の1階層下位の語)をリストアップします。
car, auto, automobile, machine, motorcar
-> motor vehicle, automotive
vehicle
=> amphibian, amphibious vehicle
=> bloodmobile
=> car, auto, automobile, machine, motorcar
=> doodlebug
=> go-kart
=> golfcart, golf cart
=> motorcycle, bike
=> snowmobile
=> truck, motortruck
★Meronym:"car"の部品を表す語をリストアップします。
car, auto, automobile, machine, motorcar
HAS PART: accelerator,accelerator pedal, gas pedal, gas,
throttle, gun
HAS PART: air
bag
HAS PART: auto accessory
HAS PART: automobile
engine
HAS PART: exhaust, exhaust system
HAS PART: exhaust manifold
HAS PART: exhaust pipe
HAS PART: exhaust valve
HAS PART: silencer,muffler
HAS PART: tailpipe
HAS PART: automobile
horn, car horn, motor horn, horn
HAS PART: horn button
…以下省略…
このほかにも,単語によってはHolonym(Meronymの逆),Troponym(動詞を対象に,ある動作の具体的な方法を表す語:studyに対するdiagnose, audit, checkなど)など,ここには書ききれないほどの情報が得られます。また,必要に応じて,各単語の簡単な語義をあわせて表示させることもできます。元来は,意味論や認知言語学の研究者向けに作られたソフトのようで,一般にはあまり知られていないのですが,辞書編集や語学教育に携わる方にも大変有用なものであると思います。
WordNetは,つい最近バージョンアップされ,Ver. 1.6になりました。現在のところ,Unix, Prolog, DOS(汎用・コマンドラインインタフェース), Windows(3.1/95)版が出ていますが,近いうちにMac版もリリースされるそうです。
私はWindows版を使っていますが,検索ソフトの使い勝手が悪い(標準的なWindowsのキー操作に従っていない(Alt+F4で終了できなかったり,CTRL+Sでファイル保存ができない)。メニューバーにショートカットキーがないので,マウスがないと事実上使えない。各種設定やウィンドウサイズが保存されない。など)のが玉にキズです。データファイルは,すべてテキスト形式で,しかもファイルフォーマットが公開されているので,(その気になれば)データを追加,修正もできると思います(私は試していませんが)。
入手方法ですが,基本的に,WordNetはフリーウェアで,
ftp://ftp.cogsci.princeton.edu/pub/wordnet/wn16pc.exe
からダウンロードできます。ただし,ファイルサイズは巨大です。ダウンロード時で約15MB(解凍してインストールすると約37MB)ありますので,プロバイダー経由でインターネット接続されている方は,フリーウェアとはいえ,かなりの出費(アクセスチャージ+電話代)になると思います(^^)。私がLAN端末から落としたときでも,約3時間かかりました。
以上,簡単にご紹介しましたが,さらに詳しい情報は,WordNetのホームページ
( http://www.cogsci.princeton.edu/~wn/ )
から得られます。また,私のホームページの中の小論
( http://members.tripod.com/~sekky/ochibo.html )
にも,簡単ではありますが紹介があります(WordNet以外の辞書ソフトに関しても触れてあります)ので,ごらんくだされば幸いです。
長くなりまして申し訳ございませんが,今後ともよろしくお願い申しあげます。
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愛知淑徳大学大学院 博士後期課程(語用論/社会言語学/応用言語学)
関山 健治 (SEKIYAMA, Kenji)★彡彡
Email:
★ Homepage URL http://members.tripod.com/~sekky
★
_/_/_/_/_/_/_/くらしの中に、ひとに優しい言語学の香りを…_/_/_/_/_/_/_/
RE:WordNetのご紹介
Date: Sat, 21 Feb 1998 井上 永幸
関山 健治さん,書き込みをありがとうございます。
貴重な情報をありがとうございます。実は,書店が配っている新刊目録にあがっておりましたので,どういったものかと思っておりました。詳しく教えていただきまして,どんなものなのかがよく分かりました。
> 入手方法ですが,・・(中略)・・約3時間かかりました。
うぉー,それはすごい。(^_^;)
そのような人のためか,その目録によりますと,CD-ROMでも手に入るようになったようです。値段は,紀伊國屋だったか丸善だったか,どちらかのものです。
Fellbaum, Christiane (ed.) WordNet 1.6. CD-ROM. (CD-ROM)
1998:06 (MIT Pr.)
-US- ISBN 0-262-56116-6 \5,490 The CD-ROM, which includes both
Macintosh and
PC versions, contains the WordNet 1.6 system and the Semantic
Concordance
package. Version 1.6 contains the WordNet database, browser
software, source
code, and documentation. Requires at least 22MB of disk space.
> さらに詳しい情報は,WordNetのホームページから得られます。また,私のホームページの中の小論にも,簡単ではありますが紹介があります(WordNet以外の辞書ソフトに関しても触れてあります)ので,ごらんくだされば幸いです。
早速,参考にさせていただきます。
> 長くなりまして申し訳ございませんが,今後ともよろしくお願い申しあげます。
こちらこそ。これからも,どんどんいろいろな情報を書き込んでいただければ幸いです。WordNetの応用例なども歓迎です。
>_/_/_/_/_/_/_/くらしの中に、ひとに優しい言語学の香りを…_/_/_/_/_/_/_/
これいいですね。(^_^)
RE:WordNetのご紹介 −追加−
Date: Sat, 21 Feb 1998 "SEKIYAMA, Kenji (Sekky)"
井上先生,
>
そのような人のためか,その目録によりますと,CD-ROMでも手に入るようになったよう
>
です。値段は,紀伊國屋だったか丸善だったか,どちらかのものです。
早速のレスをありがとうございます。意外な盲点に気づいたのですが,私のように院生室の共用LAN端末でしかインターネットが使えない者にとっては,確かにアクセスチャージや電話代は一銭もかかりませんが,LAN端末に落としたWordNetのファイルを,自分のPCに移すという作業が待っています。といっても,WordNetのファイルは圧縮して約15MBなのですから,MOなどの補助記憶のない私にとっては,15MBのファイルを転送するには,FD1枚におさまる容量に元ファイルを分割(約12個のファイルに)して,フロッピーをLAN端末と私のPCの間で往復させないといけません。この手間も相当なもので,ダウンロードの時間も含めて,休日まる1日かかりました。5490円でCD-ROMが手に入るのですか… それなら,買った方が安いですね。「時は金なり」(^^)
先ほどインストール後に37MB必要と書きましたが,semantic concordanceのファイル(ブラウンコーパスに意味的なタグを付与したもの,らしいです)など,WordNet自体には必要ないファイルや,html版のマニュアルなど,削除しても支障ないファイルもあります。それらをカットすれば,たぶん上の案内にある22MBという数値になるのだと思います。もちろん,インストールの際に解凍作業を行う関係上,22MBぎりぎりではまずいと思います。
プリンストンでWordNetに携わってみえる方々による,WordNetに関するペーパーはWordNetのホームページ
( http://www.cogsci.princeton.edu/~wn/ )
からダウンロードできます。また,うろ覚えですがInternational Journal of Lexicography (?) (Oxford UPから出されている辞書学の雑誌)でも,数年前にWordNetの特集があったと記憶しています。
RE^2:WordNetのご紹介 −追加−
Date: Sat, 21 Feb 1998 井上 永幸
関山さん,どうもです。
>それなら,買った方が安いですね。「時は金なり」(^^)
そうですね。まあ,環境次第ということなのでしょうか。(^_^;)
> プリンストンでWordNetに携わってみえる方々による,WordNetに関するペーパーはWordNetのホームページからダウンロードできます。また,うろ覚えですがInternational Journal of Lexicography (?)(Oxford UPから出されている辞書学の雑誌)でも,数年前にWordNetの特集があったと記憶しています。
再び,貴重な情報をありがとうございます。IJLにもありましたか。そういえば見たような気も,…でも,忘れてました。お礼申し上げます。<m()m>
Re: WordNetのご紹介
Date: Sat, 21 Feb 1998 赤野 一郎
関山さん、こんにちわ。赤野@京都外国語大学です。
> 社会言語学が専門の私ですが,辞書学にはアマチュアとして大変関心を持っております。
アマチュアとは、ご謙遜です。あなたが学部時代に作成した辞書の紹介冊子は、大学生が作ったとはとうてい思えない優れたものでした。これからもその知識と経験を生かしてどんどん書き込んでください。
メーリングリストの主催者みたいな発言になりました 。井上先生、m(__)m
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AKANO, Ichiro
Kyoto University of Foreign Studies
TEL: 075-322-6103
E-MAIL:
NIFTY SERVE ID: HFC03130
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RE^2:WordNetのご紹介
Date: Sat, 21 Feb 1998 井上 永幸
赤野先生,
>メーリングリストの主催者みたいな発言になりました 。井上先生、m(__)m
いえいえ,メーリングリストの参加者皆さんが主宰者ということで,(^_^;)…
これからもどんどん書き込んでください。(^_^)v